Co-Writing Farm Official blog

クリエイター集団Co-Writing Farm(CWF)のオフィシャルブログ。メンバークリエイターの日々の活動などをカジュアルにお伝えします。

リファレンス楽曲の分析、活用方法

CWFの竹島です。今日はリファレンス楽曲の分析、活用方法について書きたいと思います。

  1. 結論 ”かっこよさそのもの””要素”の取捨選択
    BPMサウンド、楽曲展開、コード進行、フレーズとコードの関係、何が、その楽曲のかっこよさの根本なのかを分析し、単にフレーズをパクるのではなく”かっこよさそのもの””要素”を取り込みましょう。

  2. どこまで似せていいの?なにをチェックすればいいの?
    • よく作曲サイトなどで、リファレンスいわゆる参考曲を用意して、作曲やミックスをしましょうと言うような内容がありますよね。クライアントから発注頂く際も、必ずリファレンス曲が添えてあります。
      しかし、そのリファレンスをどう活用していいのか悩む方も多いのではないでしょうか?どこまで似せていいの?なにをチェックすればいいの?そんなお話です。

  3. 分析時のポイント
    • 自分は下記のポイントを重点的にリファレンス楽曲をチェックします。
    1. サウンド
      • 基本BPMはリファレンスと同じにします。使っている音のジャンル、キック、スネア、ハイハット、あとコードシンセの音かベースの音で大体のジャンルが決まる為、系統を確認します。
    2. コード進行とスケール
      • 曲の雰囲気はコード進行か、もしくはアクセントで使われているスケールが担っている事が多いため、コードや使われているスケールを確認。
    3. コード進行に対するメロディの動き
      • メロディはコード上において何度の響きなのかという関係性がメロディの雰囲気になっている事が多い。なので、曲の中でグッとくるポイントや、Aメロ、Bメロ、サビでコードに対して何度の響きを使っているか、セクション毎にどう使い分けられ、メリハリをつけているかを確認する。
    4. 符割の特徴
      • リズムモチーフやキーに対して1度の音が出る頻度、フレーズの塊でどのようにメリハリをつけられているのかを確認することが大事。細かく1度で解決しているのか、なるべく出さないようにしているのかなど。

    • 上記の観点から要素を抜き出し組み合わせる事でリファレンスの雰囲気を残しつつ、別の曲を作る事ができると考えています。


  4. 具体的にリリースされている楽曲と、恐らくリファレンスにされたであろう楽曲を比較して、行こうと思います。ダンスミュージックの例ばかりになってしまいますがロックやポップスにおいても同様の視点からの分析、再現が可能です。
  • [リファレンス例1]K/DA - POP/STARS (ft. Madison Beer, (G)I-DLE, Jaira Burns) 

K/DA - POP/STARS (ft. Madison Beer, (G)I-DLE, Jaira Burns) | Music Video - League of Legends

  • リファレンス楽曲のPOP/STARSはオリエンタルなスケールを主軸にダブステップ的なジャンルから派生したインダストリアルなシンセサウンドで世界観を構築している。それを元に下記の楽曲2曲をお聞きください。
      1. 基本構成、主軸のオリエンタルなスケールはそのまま引用。むしろ要素の引き算で、サウンドはより個性の少ない基本的なEDMサウンドへ。ラップが取り除かれ、その代わり歌詞と符割でキャッチーさを少しプラス。サビのメジャーとマイナーを行き来する調性はそのまま引用する形で着地している。


 

  • [リファレンス例2] BlackPinck - 'Kill This Love' M/V 


BLACKPINK - 'Kill This Love' M/V

リファレンスはいまKpopのガールズグループで最も注目されているグループの一つBlackPink。
それを元に作られているのが下記楽曲。

      • メインリフの骨格となっているスケールを原曲では力強いブラスのフレーズだが、フルートの音にし繊細な雰囲気に変更している。このアプローチはBlackPinkのJENNIEのソロ楽曲のサビをリファレンスにしていると思われる。この様に複数の楽曲から要素を組み合わせることも頻繁に見受けられる。


        JENNIE - 'SOLO' M/V

      • 構成、サウンド的な観点から見ると、Trap系統のGirlsKrushAメロから、キュートめなBメロ、からの力強いサビという展開はそのまま踏襲されている。
      • また、サビではメインモチーフを繰り返すのではなく、”力強いサビ”という要素だけを抜き出しFestivalという別ジャンルで力強さを表現することで、リファレンス楽曲とは違う盛り上がりを演出している。つまりサウンドを変えることで原曲と違う世界感を付加している。
  • [リファレンス例3] Charlie Puth - Attention [Official Video]


Charlie Puth - Attention [Official Video]

  • リファレンス楽曲であるチャーリープースのAttention。基本的にチャーリープースのボーカルがもつ魅力が主軸であり、サウンド的に特徴があるわけではない。が、サビでブリっとしたベースとボーカルだけになる感じがとてもカッコ良いし斬新。これを念頭に下記の楽曲。今回も2曲!
    1. [M/V] NU'EST W(뉴이스트 W) - Dejavu


      [M/V] NU'EST W(뉴이스트 W) - Dejavu


      Dejavuでは、基本構造、サビのブリっとしたベースとメロという美味しいところのフレーズもほぼほぼそのまま引用。そのため、曲全体にreggaetonというレゲエダンスミュージックのビートとバッキングをつける事で別の楽曲としての価値を付加している。

    2. GOT7(ガットセブン) "니가 부르는 나의 이름(You Calling My Name)" M/V


      GOT7 "니가 부르는 나의 이름(You Calling My Name)" M/V


      一方、Got7のYou Calling My Nameは、サビの要素のみを取り込み、それ以外の部分はKpopとして料理されている。きっと別のリファレンスがあるのでしょう。また、サビに関しても、ベースの替わりに、ブリッとしたギターをメロディと絡める事で、要素はリファレンスと同じだが別の楽曲へと料理している。

最後はJpopから一曲ご紹介。

  • [リファレンス例4] Zedd, Alessia Cara - Stay (Lyric Video)


    Zedd, Alessia Cara - Stay (Lyric Video)

    ダンスミュージックが好きな方ならご存知のZedd。2018年に大流行したStayです。この楽曲とBrunomarsの24kmagicをきっかけに、2019年末現在ヒゲダンのPretenderでも取り入れられているボコーダーがいまっぽいアレンジとして認知されるようになりました。また、サビでやっている頭1.2拍目を強調するメロディもこれ以降増えたように思います。それを踏まえて
    • UVERworld 『ODD FUTURE』


      UVERworld 『ODD FUTURE』

      冒頭とサビで頭1.2拍を強調したメロ、そしてボコーダーで和音感を出すという部分をリファレンスのサビから引用しています。引用部分に関しても、ちゃんとUVERworldらしさが付加されていて、パクリではなく消化されているところが初めて聞いた時凄いなと思いました。

[まとめ]どう頑張ったって、自分の個性がでる。

  • 恐れずに沢山の曲を真似しながら自分がかっこいいと思えるアレンジの引き出しを貯めていきましょう。なんだかんだどうやったって自分らしさが滲み出てしまうものです。
    きっとその先に自分にしか作れない、オリジナルな何かが作れるようになるのだと思います。芸術は模倣から始まるとも言いますし。

本記事を読んでリファレンス楽曲を上手く活用し、クオリティと制作スピードをあげるきっかけになれば幸いです。それではまた!