Co-Writing Farm Official blog

クリエイター集団Co-Writing Farm(CWF)のオフィシャルブログ。メンバークリエイターの日々の活動などをカジュアルにお伝えします。

もっと巻き込めインディーアーティスト、DJ、エンジニア

Co-Writing Farmのお兄ちゃん、Ryo Itoです。

 

12月10日にIAというバーチャルディーバのシングル「pray for real feat.MINMIが配信リリースされました。(Spotifyはこちら pray for real - song by IA, MINMI | Spotify )この表題楽曲もCo-Writing FarmメンバーのTomoLowによるプロデュースなんですけど、今回はカップリング曲「DIAMANTE」に関して話したいと思います。

 

open.spotify.com

 

実はこの曲、2018年にタワレコが音楽・エンターテイメントにおいて、未来志向のクリエイターを育成・支援することを目的として立ち上げた、よりインタラクティブなオンライン、リアルのハイブリッド型のスクール「TOWER CREATIVE ACADEMY」の中で生まれました。講座の内容はコーライティングのワークショップで、私が講師としてコーライティングのやり方について話し、その後は参加者をチーム分けして実際に各チーム1曲ずつ作ってもらいました。通常コーライティングは3~4人1チームでやるのですが、たまたま参加者の人数の都合で、2人しかいないチームが出来てしまったので、私がコーライトにも参加することになりました。講師でありながら他の参加者と同じように曲を作るので、下手なものを作るわけにはいきません。

そして、私の参加したチームメンバーは2人とも20代半ばの若いチームで、インディーシーンで活躍するシンガーソングライターのgratiaと、バンド上がりでDAWを初めてまだ数年の完全洋楽志向DJ・トラックメーカーのSho Fujiwaraでした。2人と話をしてみると、いわゆるJ-popやアニソンというイメージではなく、もっと尖ったものを作りたいイメージをもっていて、BLACKPINKというキーワードも出てきました。ただ、アーティスト楽曲提供という視点だと、BLACKPINKタイプの楽曲は日本では需要はなく(少なくとも当時は)落としどころの難しい方向性でした。ただ、個人的にも好きな方向性でしたし、せっかく奇跡的に組み合わった3人なので、この方向で突き進むことにしました。「好きこそものの上手なれ」で順調に形になっていきました。若いクリエイターがゆえの粗削りな部分が良い“尖り”を生んでいましたが、その反面でプロフェッショナルクオリティという視点では私を唸らせるものではなかった。ある程度までディレクションしたところで一つの思い付きがありました。私の考えるプロフェッショナルクオリティはデモ音源レベルではなくリリース音源レベルだし、リファレンスにBLACKPINKを掲げたからにはそのクオリティを目指します。そのためにはプロのサウンドクリエイターのインが必要だという決断。そこで、当時FAKYやFairiesでお世話になっていたエンジニア、Ryosuke Kataokaさんにコーライトインのオファーをしました。

彼のコーライティングで作曲に参加するのは初めてということでしたが、快く受けてくれました。コーライティングとは何か?をしっかりと伝え、彼に求めていること、どのクオリティを求めているかなど丁寧に説明しました。ボーカルエディット、マニュピレート、ミックスなど全体のサウンドデザインをやってもらいことで楽曲は劇的にランクアップしました。私もコーライターも全員が満足できる作品に仕上げることが出来ました。

その後、出来上がった作品のピッチングをすることになるのですが、最初に感じていた“落としどころの難しさ”に直面しながら、少し時間はかかりましたがこの楽曲を世に送り出してくれるアーティストに出逢えました。バーチャルディーバという意外なアーティストでしたが、結果として面白いコラボレーションになったと思います。この作品を見つけてくれたIAとそのスタッフには感謝です。

今回はたまたまTOWER CREATIVE ACADEMYというきっかけで出逢った若いクリエイター、そこにプロフェッショナル・エンジニアを巻き込むことで生まれたケミストリーは素晴らしかった。もちろん私の狙い通りなんだけど(笑)、とはいえ自分が納得できる作品がいつでもできるわけではない。今回は私のイメージを超えてくるものもあったし、何よりも世に送り出せたことで、コーライターもアーティストまで巻き込んだひとつストーリーが生まれたと感じています。普段どうしても、作家同士によるコーライティングになりがちだが、ぜひ色々なひとを巻き込んだコーライティングへの挑戦も忘れないでほしい!

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