Co-Writing Farm Official blog

クリエイター集団Co-Writing Farm(CWF)のオフィシャルブログ。メンバークリエイターの日々の活動などをカジュアルにお伝えします。

どこにも行けなくても、どこへでも行ける方法〜夏のオンラインキャンプ振り返り〜

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こんばんは、Co-Writing Farm(CWF)の作曲家、ペンギンスです。

今年も夏は規格外の暑さでしたが、何よりも新型コロナウイルス感染拡大との戦いが進行する中での猛暑となったことがキツかったですね。なかなか遠くへ旅行も行けず、近郊であっても友人と飲み会をするのもはばかられる、そんな夏だった気がします。

「人に会えない」という意味では我々コーライティング作曲家にとっても試練の夏でした。5月に開催予定だった神奈川県真鶴町でのコーライティングキャンプも当然中止、その後も対面型でのセッションは相手の事情も考えるとそう簡単には実現できない日々が続いています。

とはいえ、あらゆることにはポジティブな側面があります。今回の新型コロナウイルスの流行を機に、ZOOMなどでのオンラインミーティングが一気に普及したこともそのひとつです。我々Co-Writing Farmの作家たちは4月の緊急事態宣言以降、オンラインイベントの開催やオンライン講座によるナレッジの共有など、オンラインでもできること、いや「オンラインだからこそできること」にフォーカスして作家活動、コーライティング活動を継続してきました。

その集大成ともいえるのが、先月(2020年8月)中旬に開催された「CWFフルオンラインキャンプ2020SUMMER」です。これは休日の1日をまるまる使い、朝10時から夜18時までの8時間で、オンラインでのコーライティングセッションにより1曲を完成させるというものです。参加を希望した30名近い作曲家がZOOMの画面上で一堂に会し、その後事前のチーム分けに基づいて個別のチャットルーム(ブレイクアウトルーム)に移動してセッション開始。データはMessengerやDropbox等のクラウドサービスを活用してやりとりしつつ、濃密なディスカッションで楽曲の精度を高めながら完成までもっていきました。

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ZOOM画面に「全員集合」したオンラインキャンプ参加作家たち。

今回私はオーガナイザーとして、全チームの編成と全体の運営を務めました。前例のないオンラインキャンプということで、各種の不安は常につきまといます。そもそも各自の通信事情、マシンスペック等の理由で、満足にZOOMでのディスカッションができない状況になったら?他のメンバーが作っている音をどうやって聴くのか?事前になるべく不安要素を潰しつつ、出たとこ勝負の要素もありました。
実際にセッションを開始してみると、ZOOM単体なら動作するがDAWと同時に立ち上げると動かない、といった予想外のトラブルに見舞われるチームもありました。ただ、全体的には新型コロナウイルス問題が起こってから数ヶ月経過していることもあり、多くのメンバーがZOOMでのやりとりには慣れている状態で、オンラインセッションが成立しないということはありませんでした。複数のチームのブレイクアウトルームを私が行ったり来たりして状況把握しつつ、テクニカルな問題は早々に解決し、全チームが音楽的な各自の目標に向かってクリエイティブな時間の使い方をすることができたのは幸いでした。
通常のリアルキャンプでは締め切り時間になってもなんだかんだと言いながらギリギリまでクオリティーにこだわってしまうのがクリエイターの常ですが、18時の締め切りと同時に強制的に個別のブレイクアウトルームが消滅するオンラインキャンプは、時間厳守という意味では良いシステムかもしれません笑。全員が締め切り厳守の意識ですばやいコーライティングをした結果、全チームが時間内にディレクター、A&Rに聴かせられるレベルのデモ音源を完成させたのは、正直私にとっても予想外の喜びでした。初挑戦のオンラインキャンプで、スケジュールを守りつつクオリティーも落とさない、そんなことを可能にしているのがCo-Writing Farmの集合知のようなものなのかもしれません。
むろん課題も残りました。通常は良いスピーカーを用いて大音量で楽しく行うデモの視聴会タイムも、ZOOM回線経由で行うことになり、音質は満足とは言い難いものでした。ここはAudiomovers等のプラグインで問題解決できる可能性があるので、次回の開催までに解決しておきたいところです。
今回のオンラインキャンプのオーガナイズを通じて、生楽器に熟達している者がDAW上でもそれを活かせるように、リアルなキャンプの経験が豊富だからこそ、リアルの活動が制限されたときに、オンライン上に活路を見出すことができるのだと思いました。しばらくは簡単に遠くに行ったり、大人数で集まったりすることがしづらい時期が続くかもしれませんが、どこにも行けなくても、どこへでも行ける・・・そんな方法を見つけたような気がします。

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